課長昇進試験


今日は、ある会社の課長昇進試験について、外部評価者として参加した際の内情をお話します。

その会社では、恣意的な評価の排除と客観的な能力評価のために、外部コンサルタントを評価者に加えています。

ある程度の規模の会社では導入されており、この会社では能力が課長レベルに到達しているか、10分の面接で判断します。

課長の仕事は、他人を通じて、業務を成し得る。

課長の仕事はこれに尽きます。

この会社では、40台前半から50台前の年齢の人を課長に任用しているそうで、年齢が若い層や全体の女性候補者の受験比率をあげて、若返りと女性幹部の比率を上げているとのことでした。

しかし、人事部との打ち合わせでは、そういう思惑を排除して客観的に評価するように言われました。

この会社では、能力がない人は決して昇進させない方針です。

面接官は3人の外部評価者で構成され、面接後に合否を出し合います。

まず、1人目の面接です。

人事部が用意した評価基準をもとに、質問をしていきます。

面接官:「課長の仕事を一言で言ってください。」

受験者:「一生懸命に頑張って、こなす仕事量を増やして、業績をあげます。」

面接官:「今も仕事がたくさんあるのでは?」

受験者:「そうです。チームメンバーが頼りないから、私が頑張るしかありません。」

面接官:「そうですか。それでは、あなたが課長になった時の課の運営方法を教えてください。」

受験者:「メンバー同士を競い合わせて、切磋琢磨してもらいます。厳しく運営します。」

そういう類いのやりとりで面接をして、キーワードの出現やどのように思考しているのか判断します。

1人目は、課長としての重要キーワードが全く出てこず、3人の評価者全員が不合格判定でした。

評価者の意見はたいてい一致しますので、評価はスムーズに進みます。

30人が受験して半数の15人が受かりました。

 

次に、2次試験なのですが、こちらはこの会社の人事部と協業して進めます。

違う日に2次試験なのですが、会社のあるシチュエーションをもとにシナリオを進めます。

そのシチュエーションとは、2人の部下が出張先や出先で同時に動いて、断片的な情報からリスク把握を行い、適切な指示を与えるというものです。

情報を集め過ぎると対応が遅くなりますし、2人の部下を混同してしまうようにもなっています。

この中で、受験者はよりベターな選択を強いられます。

どの選択も一長一短で、なぜ、そのような判断をしたのか尋ねます。

このシナリオでは、実践で必要となるリーダシップや決断力、マネジメント力の発揮が求められます。

ある受験者は、リーダシップ力の発揮が良く決断も抜群に早いことから、合格したのですが、その人は子会社ですでに課長職を経験しており、「なるほど」と合点がいったのでした。

課員の時から、リーダーシップやマネジメント力をつけておかないと、課長昇進試験は受かりません

この会社では、最終的に6人しか受かりませんでした。

狭き門です。