答えのでない事例で深く考える。意見を伝えあう。違う立場を発見をする。



これも私がやっている研修の一素材なのですが、事例を用いて参加者同士で意見を交換します。例えば、入社3年目の若手はリーダーシップがあり、新しいプロジェクトに積極的に参加するなど有能で新入社員からは憧れの先輩です。

先日も他社との会議でプレゼンを華々しく成功させて契約することができ、プロジェクトは軌道に乗りました。遅くまでの残業や休日出勤も厭いません。

しかし、彼の上司である課長はそんな若手のリーダーシップを疎ましく思い、十分な協力をしてくれません。

それどころか、彼の仕事のあら探しをして、執拗に修正を促して足を引っ張ります。頭に来た若手は部長に窮状を訴えます。

ここで、参加者同士で意見交換をしてもらいます。あなたが部長ならどうするか。あなたが若手ならどうするか。ここでのルールは他の参加者が出した意見は否定しないことにします。ここで参加者の意見はヒートアップします。

俺が若手なら会社をすぐ辞めてやるとか、課長はダメだという意見が大半を占めます。若手と同年代の参加者は自分自身に置き換えて考えてしまいます。



ここから課長の意見を披露します。

課長からの視点は逆で、若手のリーダーシップ発揮は、事前の相談も十分にないため単なる単独行動に見えてしまい、プロジェクトも他社との協業などおいしいとこ取りで、詰めも甘いために見積りよりも大幅に予算超過してしまいます。

また、課長の再三の指導にも関わらず、若手は会社の残業時間の規定を超過してしまいました。課長はこの件で部長に相談しに来ました。あなたが部長ならどうしますか?

ここで再度、参加者に意見を交換してもらいます。先ほどの意見とは異なるものになります。

 

もう一素材として、夫婦共働きで、子供が一人の家族の話です。夫は遠く離れた所で単身赴任をしており、月1回しか帰ってこれません。そんな生活をもう5年続けて、最近、管理職となり多忙な毎日を過ごしています。

妻は看護師で、子供が中学生になり手がかからなくなったのを機に仕事量を増やし、夜11時に帰ってくる準夜勤や深夜も働く夜勤などを週に2、3回入れるようになりました。

その後、彼女は主任となりキャリアアップすることができ、仕事が充実し楽しくなってきました。また、このまま続けると婦長の位置も見えてきました。

子供は私立の中学校に通っており、近所に友達もいません。子供は学校から帰ってきても夜の11時まで一人きりのときが多くなりました。

また、夜勤では子供が登校する朝の時間には帰れず、子供と顔を合わせることができません。なお、妻の帰りが遅い場合、子供の晩御飯はレンジでチンするものが用意され、一人でご飯をたべています。

しかし、最近、子供がゲームに夢中になり、学校に行かなくなりました。

ここで参加者同士で意見交換してもらいます。ここでも、他人が出した意見を否定しないというルールを適用します。自分が妻だったら、自分が夫だったらどうするか? 話しあってもらいます。

もちろん正解はありません。

子供の不登校の解決だけでよいのか。家族の形をどうするのか、キャリアとの折り合いをどうするのか。

自分ならどうするか、どういう立場をとるのか、どんな価値観で生きるのか、意見を伝えあい、違う立場を発見し、自分自身を深く内省できる研修になります。

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