アウェイをホームグランドに変える。辺境の地で輝く。
異動が多いサラリーマンも多いかと思います。Yさんもそんな一人でした。ただ、Yさんの異動は、本社から辺境とも思える勤務地で関係子会社への出向でした。
周りの人は「片道切符」と噂していました。でも、Yさんは実直な人でそんな噂も意に介せず、辺境の地へと赴任していきました。
本社から見ると辺境ですが、赴任すると本社が辺境の地になります。
赴任先の人たちは、Yさんの動向を注視していたそうです。「また、本店しか見ていない人が赴任してきたんだな。」「まぁ、様子を見ようじゃないか」そんな会話がなされていたそうです。
着任からYさんは課員のメンバーについて理解しようと努めてきました。「なぜ、そうなるのか、どうしてそう考えたのか。」土地柄の考え方もベースにありました。
Yさんは課員に学歴や性差などに関係なくフェアに接してきました。スキルが足りない人には丁寧に教えるところから始めました。
そんな事をした人はこれまでいませんでした。本社からの指示も背景から説明し、なぜそうしないといけないのか腹落ちさせることに腐心したといいます。課員を理解し、Yさん自らを理解してもらうのに一年を要したそうです。
一年を越えたあたりから、課員の雰囲気が変わってきたそうです。
Yさんは仲間として受け入れられ始め、課の成果が上がり始めました。隣の課から応援が来たり、通常ではありえないことが起き始めました。
それまでのYさんの誠実な対応に返報しないといけないと課員が感じ、行動した結果が出始めました。課の業務幅が広がり、さらに結果がでる好循環のサイクルに入っていきます。
時代が変わる潮目にいたため、子会社への需要が高くなり、発注が多くなってきました。Yさんに運も味方しました。
Yさんに尋ねました。「どうしてアウェイの関係会社なのにそんなことができたのですか?」Yさんが笑いながら答えます。「アウェイじゃないよ。私のホームグランドにしたんだよ。」
そんなある時Yさんに本社から辞令が届いたそうです。「今度の異動は海外子会社でした」と、Yさんから連絡が来ました。
子会社での活躍が本社にも届いていました。
それで、海外子会社の立て直しを命じられたそうです。Yさんは「前よりは時間かかるかもね。」朗らかに笑いました。また、辺境の地で輝くことでしょう。