強い組織は、新人・若手を真剣に育てている。
今日は、新人や若手など人材育成の上手い会社の育成方法について、ご紹介したいと思います。
①人材育成システム
②仕事マップ
③スキルマップ
です。
①人材育成システム
<1>人材育成と目標設定や査定を関連させる
サービス業の会社Fでは、新人の定着率が低く会社の年齢構成に問題が生じるほどでした。
というのも、課長をはじめ、係長や主任クラスがまともに新人を育成していませんでした。
例えば、新人や若手を単なる小間使いのように扱っていました。
その会社Fの人事部から依頼を受けた私はその営業課長にインタビューをしたときのことです。
私:「営業課での新人や若手の人材育成について、教えてもらえますでしょうか?」
営業課長:「新人ですが、お客さんへの同行は先輩社員が最初にはしますが、それ以外の人材育成はしていませんね。」
私:「傾聴やクロージングの方法なんかは教えないのですか?」
営業課長:「それは、その人任せになっています。」
先輩はお客さんのところへ同行してくれますが、新人に体系立ててOJTする訳でもなく、単なる引継ぎにいくというそんな感じを受けました。
その他の人からもインタビューをしたのですが、会社Fには人材を育成する風土があまりありませんでした。
会社Fでは、人材育成システムを早急に導入して、育成する風土を早急に確立しなければならない状況でした。
それで、まず提案したのが、部下が辞めると課長の査定が下がる仕組みです。
この仕組みが入ると課長は否が応でも、人材を育成しなければならなくなります。
あと、係長や主任の目標設定に、チーム成績も入れるように提案しました。
つまり、部下を育てチームの成績が上がるようしないと、自分の目標も達成できなくなる。そんなシステムの導入を提案しました。
というのも、インタビューをする中で分かったのですが、自分個人の営業成績を上げることに専念して、部下のことまで気が回らないというのです。
なので、職位が上がると自分の目標設定にチーム成績の割合を大きくしていくのです。
そうすると自分も頑張るのだけど、それだけではダメで部下を育成する必然性がでてきます。
例えば、係長では個人成績とチーム成績の比率が半分になるなどです。
こうすれば係長の半分のエネルギーは部下の育成を行うことになり、チーム成績の向上につながります。
<2>先輩社員制度、バディ制度、一子相伝制度など
課長や係長は自らの業績評価に人材育成がリンクするシステムを入れるのですが、新人を育成する若手にも成長してもらう制度として先輩社員制度やバディ制度とよばれるものがあります。
つまり、新人に教えるということが、若手にとって勉強になります。新人にも若手にも勉強になる一石二鳥の制度です。
また、バディ制度とは新人と若手のペアで組むものになります。若手は3年~5年先輩ぐらいだと教える力量がでてきます。
3年未満の先輩であれば、仕事は一通り教えれるかもしれませんが、新人の質問には答えられなかったりしますので、若手を勉強させるにはよいと思います。
あと、一子相伝制度とは、退職を目前にしたベテラン社員が技術のすべてを新人に教えて、新人の成長を促すというOJT制度で、生産現場などでよく見られます。
ベテラン社員は自分の子供よりも若い新入社員に教えたりするので、張り切っているように見えます。
以上の制度の良いところは、新人の組織への帰属感が高くなるところです。
言い換えれば、新人にとって誰かに見守られている感があったり、ほったらかしにされていないので、組織からの離脱が総じて低くなります。
<3>社外研修制度
社内のOJTだけでなく、社外の研修制度を受けて人材育成をする方法もあります。
新人研修や主任研修など研修を組んでいる会社さんもあります。
つまり、職位に応じて研修を受けさせて、その職位に必要な知識を体系だてて学ぶと成長も早くなります。
②仕事マップ
仕事マップは、自分の部署がどのような仕事をしているのかまとめたものになります。すべての部署を集めると会社全体がわかる仕組みになっています。
ですので、自部署は他部署とどういう繋がりになっているかや、会社で自部門はどういう位置づけなのかが、新人や若手に分かります。
そういう自部門や他部門が記述されたファイルが社内に公開されていると、中堅のキャリアアップにも役立つことになります。
ポイントは部内版も作成し、部外で公表しているものよりも、詳細に記述するのです。
例えば、隣の課は何と何の業務をやっているのか分かっているようで、全部知らなかったりします。
このようにして、自部門や自分の仕事の位置づけを確認し、キャリアアップするための情報を入手するために仕事マップが役に立ちます。
③スキルマップ
スキルマップとは、部署で仕事をする上で必要となるスキルの一覧になります。
例えば、経理部であれば、簿記やフィナンシャルプランナーなど仕事に役立つスキルをマップにし、3級や2級などグレードをつけて星をつけていきます。
すべての部署で使える訳ではありませんが、スキルマップを利用すると新人だけでなく、若手や中堅までモチベーションを上げることができます。
会社によっては、スキルマップを公表しているところもあり、たくさんの星を持っている人が尊敬を集めていたりします。
社内専用のスキルを規定するのも、もちろんありだと思いますし、そうして人材を育成している会社さんもあります。
まとめ
人材育成に力を入れている組織や会社は、強いです。
成果をさらに上げるために、自分ひとりや現状の組織では成しえず、新人や若手などの人材を育成しなければなりません。
それが腹落ちして本当に理解している組織は、成果と人材育成の両輪ががっちりあって、確実に右肩あがりになっています。