部下が20人いる課長が、行うべき部下の評価方法
今日は、部下が20人いる人の部下の行動把握と評価方法をご紹介したいと思います。部下が3人しかいない場合は記録しなくても記憶で業績評価が出来たかもしれません。
しかし、昔の会社に比べて、今の会社組織はフラット化して、課長や部長のポストが減っています。
それで課長は、係長がおらず直接、部下が20人いたりすると、半年や1年ごとの業績評価では、誰がどんなプロセスで成果を挙げたなんか、正直言って覚えていません。
その上、その人の強み・弱みを把握して、次の成長に活かせることなんかできません。部下も課長からちゃんと見てもらっていないので、不満が溜まりがちになります。
そんな時、課長は、どうするか?
結論からいうと、毎日部下の行動プロセスを記録して、まとまった成果と突き合わせて、業績評価します。
①毎日、違う部下について、会議での発言や日頃の活動を注視し記録する。
②その人の人材育成シートを作成する。
③日報や月報などの成果報告と人材育成シートを用いて、業績評価する。
くわしく各項目をみていきます。
①会議での発言や日頃の活動を注視し記録する。
手帳に部下の行動を記録します。半年の期間だと実働が月20日として、120日あるわけですが、1日あたり1人〜2人注視するのです。
1日1人を注視するとして、部下が20人だと120日÷20人=6回となり、半年で6回注視することになります。それを手帳に記録するのです。
印象でなく記録するのです。
そうすれば、部下との面談も自信をもって指導ができます。ポイントは、強みと開発可能な部分を具体的に記載します。
例えば、会議があれば、出席したAさんの発言に注視します。その時の印象を手帳に記録します。
〇月〇日 Aさん:「〇〇会議参加、会議での積極性レベル2、発言レベル3、分析力レベル4、提案力レベル2(開発可能)。彼女の職位であれば、積極性レベルと提案力レベルを4にする必要あり、特に、分析が優れているのに提案がなければ、単なる批評家に見えてしまう。」など具体的に記載します。
また、自分で評価項目やそのレベルを設定しておきます。
また、次にAさんを注視するときは、会議ではなく職場での行動などを注視し、多角的に見て記録します。
そうすれば、20人に最低6回の記録ができます。私の経験では部下が20人だと、一日2人に注視すると半年で12回の記録となり精度と手間が一番折り合うと思います。
②その人の人材育成シートを作成する。
次に、その記録から各個人の人材育成シートを作成するのです。
例えば、その中身は、
(1)基本となる職歴や資格情報
(2)家族構成や配慮すべき背景情報
(3)成果を出すプロセス情報
(4)職場でどうあってほしいかなどの成長方針
などの項目を揃えます。
それで注視した記録を確認しながら、項目を埋めて一枚の評価シートを作成します。期間の途中であっても重要なことはフィードバックしてもよいと思います。
③日報や月報などの成果報告と人材育成シートを用いて、業績評価する。
最後に、メール発信や日報、週報や月報など記録から成果を抽出して評価します。
つまり、部下の日頃の言動などプロセスをきっちり記録して人材育成に役立てます。それと成果の記録を組み合わせて業績を評価するのです。
半年後の評価面談で、課長から「君は成果が出てないから、今回は査定は厳しくいく」と単に言われても納得のいかないものですが、上記のようにすれば、記録で証左を取っているので、評価プロセスを具体的に説明できます。
例えば、「○○会議での発言は、担当者としての発言のみで積極的に回りの人を巻き込むようには見えなかった。その時の分析は緻密でよかったが、対案がなく単なる指摘に見えた。
「あなたにはこの課で、分析者でかつ提案者としての地位を確立してほしいと考えている。
その上で、あなたの職位レベルでは、通常業務だけでなく、新規のプロジェクトに参加し、そこで分析に基づく対案を出す提案力を養って欲しい。」
「今回はそれができていないことが、一因で成果が思うようにでないとも思えた。その後の行動も見ていたが、周りの人を巻き込む積極性が足りないように見えた。」
「中間面談でもこの点について伝えたが、その後も具体的な提案がでていないと思う。それで、成果がでていないので、査定は厳しくなる。」
「今後は、強みである分析力をさらに高めてほしいのと、積極的に提案する行動をとって欲しい。また、提案力を身に着けたければ、外部講習を受けることもできる。」
などと話せば、評価結果だけでなく、その評価プロセス、その人の育成方針、成長への援助などを具体的に話すことができます。
私の経験では、部下が20人いても、これぐらい説明しないと厳しい査定はできないし、本当にその人の成長を促すことができないと思います。
つまり、課長は、それぐらい部下のことを一生懸命に考えないといけないのです。