会社役員は少しの不祥事で辞めなければならない。
会社役員は、少しの不祥事で辞めなければなりません。この事を分かっていない方が多いので、役員研修でお伝えしています。
①社外でも関係ない。
②些細なことでも関係ない。
結論: 役員の人格や振る舞いと、会社が一緒になる。
なので、会社の品格をおとしめる行為や疑われるだけでも退場となる。
会社内の不祥事であれば責任もとる価値があるのですが、表題のリンク先にもありますが、会社の外でセクハラをした場合、軽い冗談のつもりが社長や専務を辞めなければならない状況になります。
多くの会社さんをコンサルタントしていて、お酒を飲んだ後での暴力沙汰で辞める役員の方が、不祥事で辞める原因の半分を占めると思います。
飲んだ後は気が大きくなるものです。また、会社で知らず知らず上から目線で話しても通るのですが、会社から出て世間様では、1人のおじさんやおばさんとして扱われます。
しかし、社内で通用するそんな横柄に見える態度は、会社の外では反感を買いやすいものです。
こちらから暴力を振るわなくても、喧嘩騒動になるのも大人としてどうかと思われます。飲んだ後でのタクシー運転手との揉め事や駅員とのトラブルなんかは、よくある問題です。
社長や取締役になるには、そんな些細な汚点も許されません。特に上場企業であれば。。
あなたが社長であれば、そんなリスクをはらんむ危険性をもつ人を積極的に取締役にするでしょうか。
しないですよね。
役員レベルになると、能力や業績のほかの世間様からどう見られるかという繊細さが必要になります。
これがわからないと致命的になります。
②些細なことでも関係ない。
役員は、些細なことにこだわり過ぎてはいけません。全体のバランスをとる必要があります。会社の業績に影響なければ、自らの権威や沽券を捨てる覚悟が必要になります。
ある大手の会社でつまらないことで辞めさせられた人事担当のT役員がいます。
それは、女性の生理休暇を有給にするかしないかです。
その会社では、生理休暇として有給休暇とは別に有給休暇を1日付与してほしいと組合から要望がありました。年にたった1日です。有給休暇も50%も消化していない会社にもかかわらずです。
そんな会社の経営理念は、「世界の人々の幸せに貢献する。」です。
組合から要求のあった時点で認めていれば、1000人規模のこの会社で有給休暇を全て使い切って生理休暇で休む人は年に1人か2人程度なので、有給休暇にしたところで損出は人件費の10万円程度です。1000人の会社の売り上げ規模からいうと無視できます。
T役員は完全に、時代が要求する事項を理解できていませんでした。
T役員はなかなか組合の要望を認めません。 組合側が実存データで損はしないと説明しても、「駄目だ」と言って、取り付く島がありません。
とうとうその会社の組合委員長が怒って、すべての組合の承認事項をキャンセルすると通告してきました。組合の承認を必要とする取決め事項が凍結されました。
組合委員長: 『「我々の会社の経営理念は、世界の人々の幸せに貢献する」ですよね。T役員?』
T役員: 『そうだ。それが、どうした。女性の生理休暇とどう関係があるのかね?』
組合委員長:『日本のある会社の女性に配慮できない会社が、世界の人々の幸せに貢献できるのですか? それは我々の会社の経営理念に一致するのですか? そんな方が、この会社の経営を担えるのですか? 甚だ疑問に思います。』
T役員「。。。。」
T役員:「組合委員長の言いたいことは分かった。一度持ち帰らせて経営陣と協議させてもらう。』
組合委員長:『迅速な回答をお願いする。また、我々の本気度を分かってもらいたい。』
T役員『善処する。』
組合との折衝が上手くいっていないため、次の組合と会社側の協議では、社長も出てきました。
組合委員長:『女性の一日の生理休暇は有給にしてもらえるのでしょうか?』
T役員『しない。それは無給休暇とする。』
組合委員長:『社長は、この件でどれだけT役員から報告を受けていますでしょうか?』
社長:『これは、通常の承認案件の1つという認識だが。』
組合委員長:『それは違います。最重要事項です。自分の会社の女性に配慮できない会社が世界の人々の幸せにできるでしょうか? 経営理念にも相反します。』
社長の顔がみるみる赤くなります。
T役員から正確な状況が社長に報告されていませんでした。
社長は、その場で女性の生理休暇を有給休暇として認めると伝えました。
その後、T役員は、重要事項の報告義務違反と折衝能力不足ということで、退職勧告が社長から言い渡されました。(会社の表向きはそんなことは発表されませんが。。)
その時、T役員は初めて自分の行動の重要性に気づいたのでした。自分を客体する能力も欠けていると指摘されたそうです。
職位が上がると、自分が置かれている位置や世間からの要求に敏感でなくてはなりません。
それがないと経営陣にはなれません。
つまり、役員である自分の人格や振る舞いは、会社の格や振る舞いと一緒になります。
それから外れる行為をする人は、役員から外されます。
これもハズレなしです。