部長からは商売人にならないといけない。
商売できる人
今日は、部長になればサラリーマンだけど商売人の感覚を身につけないといけないということをお話します。
部長になれば、その重要な資格要件の一つとして経営能力が求められます。
それはサラリーマン用語なのですが、この言葉の本質は「商売できる人」です。
つまり、給料をもらうサラリーマンの考え方から、自分で商売をする商売人の考え方に脱皮しなくてはなりません。
言うなれば、サラリーマンから商売人になるのです。
多くの会社の部長さんはこれが出来ていません。
特に間接部門の部長さんはダメな人が多いです。
なので、これに気づいて行動できている人は本部長や役員への昇進スピードが違います。
今日は、サラリーマン部長が商売人になるためのポイントを3つ挙げたいと思います。
①より安く仕入れる。より安く作る。
サラリーマン用語でいえば、損益分岐点を低くするということになります。
当たり前ですが、安く仕入れて高く売ると儲けが多くなります。
人件費を効率化して経費を浮かせることもアリでしょう。
間接部門の部長はこの感覚がほとんどありません。
経費を使うだけなのです。
経営者からすればその経費は部の運営に必要だけど、当たり前に使うだけの考え方の部長はもどかしくて仕方ありません。
ある中堅製造会社の社長はこういって嘆いていました。
「自分たちがコストであることを、ほんとうに理解していない。」
それを理解していたその会社の間接部門のA部長は、毎年自らの部の経費を削減していました。
人員を含めた経費を自ら削減することは、部の勢力を落とすことになるので、通常はしません。
しかし、A部長は商売の本質を理解していたために、自らの部の経費をどんどん削減していったそうです。
また、A部長は自分たちの部で経費削減がほぼできないレベルになったときに、営業やその他から回ってくる伝票を電子化するシステムを組み入れ全社的にコストを削減することに成功しました。
システムの導入費用は2年で回収できたそうです。
会社全体で浮いた経費は人件費だけで、年間数千万円となったそうです。
その経費削減手腕と能力が認められて、A部長はコーポレート部門の執行役員に昇進することができました。
②付加価値を付ける。新しい事業を展開する。
既存の製品に新しい付加価値を付けると高く売れます。
しかし、今の日本ではモノが溢れ、競合も激しく自社製品に付加価値を付けるのは容易ではありません。
一方、日本では付加価値がないと思う製品でも、新興国では売れたりします。
同じ製品でも新興国など売る国によって、製品の付加価値が相対的に上昇するのです。
問題は、新興国では儲け幅が少ないことと、物価が低いために売れても日本での売上貢献度が低いのです。
つまり、「労多くして益少ない」のです。
コンサルタントをした製造会社のB部長は、新興国で新しい事業を展開することにしました。
それは、現地の人が製造して損益分岐点を下げて、日本の製品レベルにするのです。
つまり、高品質の製品を低コストでつくるのです。
当たり前の原理で簡単なのですが、実行は並大抵のことではありませんでした。
その工場では、「なぜそこまでするのか」とか「その作業の意味はどういうことなのか?」など現地の人に丁寧に教えます。
製造当初その工場でつくった製品は、日本本社の製品出荷担当者にチェックしてもらうと、数十か所ダメ出しを出されてしまったそうです。
その数十か所の原因となる工程を丁寧にB部長は、現地の人と潰していったそうです。
そんなある日、B部長は日本の工場でつくった製品と新興国のその工場でつくった製品を、製品出荷担当者にチェックしてもらいました。
その担当者はどちらが、日本製品であるかわからなかったそうです。
それぐらいに新興国でつくる製品のレベルが上がっていたのでした。
その会社で作っているその製品は、その新興国の工場で作られるようになったのは、言うまでもありません。
B部長は新興国で儲けを出せるようになり、既存の商品の製造コストも劇的に下げることができました。
新興国での人口増加は予想以上で、その製品は毎年右肩あがりの売上になっていて、10数年後には日本での売り上げを上回る予想だそうです。
そんなB部長は、本社取締役になって、新たな新興国の工場で陣頭指揮をしています。
③継続する。
組織の成績が部長個人の能力に依存するのは、組織として避けなければならないのですが、実際にはあります。
経営者はそういう部長を次の経営者として探しています。
しかし、経営を継続するということはどういうことかを体で理解している人でなければなりません。
わかりやすく言えば、上の写真の様な駄菓子屋さんが継続して営業していけるでしょうか?
どこかで、ビジネスモデルを大きく変える必要があります。
そうしないと継続できません。
つまり、事業の継続とは、単なるこれまでの延長ではなく、事業を進展させ売り上げを上げるものでなくてならないし、その進展の中でリスクを取りすぎて破滅してしまわないようにしなければなりません。
会社を継続させるためには、事業は儲かる方にシフトしなければ生き残る確率が低くなります。
これまでと同じことをしているのであればジリ貧になるのは、自明とも言えるでしょう。
それが、部長時代から理解できていることが肝要になります。
自分の会社がこの駄菓子屋の様な状態であるといつも危機感を持ってると言えば分かり易いでしょうか。
まとめ
部長さんは、部だけでなく視野を広くした商売人になる必要があります。
サラリーマンから商売人になるのです。