改革者は敗北する。上手に改革する。
ある部長研修での話で、新任部長の失敗談から学ぶセッションから引用いたします。
その新任部長はため息混じりに話し始めました。赴任した先の部下たちは、官公庁とのやりとりが多く、保守的で業務改善や働き方改革を不要と考えている様に見えたそうです。
書類は「てにをは」までチェックし、細部まで仕上げる入念な部署でした。官公庁向けの仕事を部長は変える気はありませんでした。
しかし、一事が万事、全ての業務がその官公庁向けのレベルに、いつしかなって効率的な業務がされていませんでした。そこを部長は変えたかったそうです。
部長は着任から程なく、矢継ぎ早に各業務スピードの改革案を打ち出します。部下たちは戸惑っていたそうです。
「部下たちは、自分たちの仕事が否定されていると受け止めていたかもしれない。。。」
と、その新任部長は振り返ります。社長も改革路線でその方針に従っている事から、その部長は強気の運営を行います。半年経った頃から、打ち出した改革案の進捗が停滞してきました。部員の不満も高まっていたそうです。
「改革案の説明の言葉も頻度も今思えば、少なかったかもしれない。」
広告:電気料金一括比較|電気代を賢く節約-でんきの比較インズウェブ
さらに、新任部長は振り返ります。ルーチン業務を改革しはじめたところで、部員の急激な抵抗が始まったそうです。各課長から部長に、「もとの業務に戻して欲しい」との要望が上がりはじました。
そんな声がその部長の上司である本部長にも届いたそうです。程なくして、着任1年後にその新任部長は異動となりました。
つまり、改革者は敗北しました。
後任の部長は、その噂を聞いてそれまでの業務に戻したそうです。今、その部の運営は問題ないとのことで、業務の非効率さには目をつぶっているとのことでした。
これを受けて「あなたの部を改革するには?」をこの研修のテーマにして、部長さん同士で話し合ってもらいました。
「自分ならどうするか?」「どうしたら、改革できるか?」の視点で話してもらいました。それで、答えを3つにまとめてもらいました。それは、
①部員をじっくり観察する。
②部員を巻き込む。
③部員のペースに合わせる。
この3つがまとめられました。いつも正解とか、どこの部署でも当てはまるわけではないと思いますが、新任部長の轍を踏まない様に、部長さん達がまとめました。
改革の目的は正しくても、そこに至るまでのやり方や巻き込み方が間違っていれば、改革は進まないということでしょうか。
「そもそも改革とは、そういう手順をすっ飛ばすから、改革というのだ」という意見もありましたが、役職の権威だけを利用して改革することは、限界があると思える事例でした。